4~6月に給与が多くなる場合は? ~法人税申告決算は大阪の福永会計事務所~

◆【質 問】◆
社会保険料のもとになる標準報酬月額は、毎年4月から6月の3ヵ月分の給与額に基づいて決められるようですが、当社は毎年この時期の業務量が通常の時期よりも増えるので、残業代が多くなります。その場合でも、この時期の給与額をもとにして届出をしなければいけないのでしょうか?

★【 定時決定における「保険者算定」 】★

健康保険や厚生年金保険では、原則として毎年4,5,6月の3ヵ月に支給された各月の報酬(給与)の平均額をもとに決まった標準報酬月額で、その年の9月から翌年の8月までの分の保険料が計算されます。
これを標準報酬月額の「定時決定」といいますが、通常の方法による定時決定が著しく不当である場合は、保険の運営主体がその額を算定することになっています。これを「保険者算定」といいます。
保険者算定を行うことができる事由としては、4,5,6月に、この3ヵ月分より前の給与の遅配分を受けたり、さかのぼった昇給によって数月分の差額を一括して受けたりしたときなどがありますが、このほど、保険者算定の対象となる新しい事由が加わりました。

★【 追加された「保険者算定」とは・・・ 」 】★

追加されたのは、業務の性質上、季節的に報酬が変動することにより、通常の方法によって報酬月額の算定を行うことが著しく不当であると認められる場合で、具体的には次のとおりです。

当年の4月、5月、6月の3ヵ月間に受けた報酬の月平均額から算出した標準報酬月額と、前年の7月から当年の6月までの間に受けた報酬の月平均額(報酬の支払の基礎日数が17日未満の月があるときは、その月は除く)から算出した標準報酬月額の間に2等級以上の差が生
じた場合であって、この差が業務の性質上例年発生することが見込まれる場合

たとえば、4月、5月、6月の3ヵ月平均をもとに算出すると標準報酬月額が32万円で、前年の7月から当年の6月までの一年間に受けた報酬の月平均をもとに算出すると標準報酬月額が28万円となり、2等級の差が出た場合、この差が業務の性質上例年発生するものであれば、28万円を標準報酬月額とすることが可能となります。

この扱いを受けることで、通常の給与水準と保険料の水準が大きく乖離することがなくなりますが、
当然に年金額や傷病手当金などの給付額もこの標準報酬月額がもとになります。

★ ワンポイント・チェック ★
新たに追加された事由に基づく保険者算定は、今回提出する「算定基礎届」から適用されることになりますが、別途に事業主の申立が必要です。
具体的には、その被保険者が保険者算定の要件に該当すると考えられる理由を記載した申立書と、その被保険者の同意書等を算定基礎届に添付して、日本年金機構や健康保険組合に提出します。