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《コラム》雇われ社長(特に外資系企業)へのインセンティブボーナス
◆役員に対する給与の税法規定
役員に対する給与の税法規定が大きく変わったのは平成18年3月でした。
それまでは役員賞与が損金不算入
(=法人税法で経費とならない)という規定でしたが、
平成18年4月1日以降開始する事業年度からは
「定期同額給与」、
「事前確定届出給与」、
「利益連動給与(H290401から業績連動給与)」
だけが損金(=法人税法の経費)になるという規定に変わりました。
「これは税務上の経費とならない」という決め方から、
「これだけが経費となる」と180度変わりました。
この改正の趣旨は、会社の利益の増減を
役員報酬の改定で利益調整できないようにするということでした。
◆外資系日本子会社社長は一従業員!である
外資系日本子会社の場合、
一般的に、海外の親会社が100%株主であり、
子会社役員は株式の保有がありません。
そのため、取締役の報酬を決議する株主総会での議決権を持ちません。
つまり、自分の役員報酬を自分で決めることはできません。
また社員も含め年俸制が多く、
日本の企業のような盆・暮れの賞与という慣習はほとんどありません。
一方で、「個人の成績で決定される」
インセンティブボーナスという制度を持つ会社は少なくありません。
インセンティブボーナスは、
一見「利益連動給与」に類似するものにも思われがちですが、
親会社100%株主の同族会社には適用されません。
また、「事前確定届出給与」も他の社員に対して
定期的に賞与を支給している常態になければ適用が困難です。
このように社長へは賞与(=インセンティブボーナス)
を会社の損金として支払うことはできないのですが、
海外の親会社(特に米国)は、
「頑張った分をボーナスとして払えないのは納得できない!」として、
日本の税法規定を理解してもらえません。
◆インセンティブボーナス支払のウルトラC
これまでは、ボーナス分は翌年の役員報酬に反映させて、
12か月で「定期同額給与」として支払うしか方法がありませんでした。
ところが、
平成27年3月16日民商第29号通知(法務省)
【代表取締役が日本に住所を有しない場合の申請に関する通知】
により、取締役を国外親会社の役員だけで構成させることで、
日本子会社社員にインセンティブボーナスを払える環境となりました。
これはウルトラCともいえる方法ですが、
子会社に日本在住の役員がいないという事態は
ビジネス上大きなマイナス要因ともなりかねません。
親会社の経営判断ですが、慎重な検討が必要です。
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