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【時事解説】役職定年廃止、メリットとデメリットは その1
記事提供者:(株)日本ビジネスプラン
役職定年を廃止する企業が増えています。現在、多くの企業で役職定年制度を設置しており、働き手が55歳前後になると役職から外れます。ただ、問題は、役職定年と同時に給与も下がるので、労働意欲が低下する点です。あるシンクタンクによると、役職定年の意欲低下で生じる経済的損失は約1.5兆円になるともいいます。労働力人口が減る中、企業にとって、役職定年から本定年の間に位置する働き手のモチベーションを高く保つことが大きな課題として挙がっています。こうした課題を解決するためにも、役職定年制度は廃止すべき、という声が強まっています。
ただ、廃止には弊害も懸念されます。たとえば、役職定年がなくなり、シニア層が長く管理職にとどまると世代交代が滞ることが予想されます。そもそも、役職定年制度には「若手に道を譲る」という本来の目的がありますが、制度廃止により能力のある若手がリーダーシップを発揮する場が少なくなります。若手が「この会社で働いても役職に就けない」「給与が上がらない」などと、希望が持てない職場環境になってしまうと、今度は若手のモチベーション低下につながります。
また、中高年層の中には役職がゴールというケースもあり、役職についたらそこで成長もやる気も止まってしまう人もいます。こうした人には、役職定年は必要だという声も根強くあります。
中高年層の人材活用を図るため役職定年の廃止は有効ですが、単に制度を廃止するだけでは十分とはいえません。たとえば、ジョブ型雇用(仕事内容と求められる成果を明確にする雇用の形)など、評価制度を含めた施策が必要になりそうです。(つづく)
(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)
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