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【時事解説】ダイナミックプライシングの功罪 その2
記事提供者:(株)日本ビジネスプラン
そうすれば、ピークからオフピークに乗客を誘導し、ラッシュ時の混雑を緩和することができます。混雑の平準化は職員の配置や列車の柔軟な編成等でコスト削減につなげることができますから、利益の増大が期待できるわけです。一方、ラッシュ時の混雑緩和は利用者にとっても歓迎されることですから、ダイナミックプライシングは国民経済的に望ましい結果をもたらすと考えられます。ただ、それが社会的にも正しいかと言われれば、首をかしげざるをえません。なぜなら、ダイナミックプライシングのしわ寄せは弱者の方がよりかぶりやすいと考えられるからです。
ダイナミックプライシングに対応して、運賃の高いピーク時から、安いオフピーク時に通勤時間帯を変更できるのは、どういう人たちなのかを想像してみましょう。企業として考えれば、収益性が高く職場のIT環境が整備され、従業員が多く要員調整が容易な大企業の方が中小企業より対応しやすいでしょうし、人で見れば、定型時間におけるルーチンワークの多い末端の社員よりも、判断業務が多く時間の融通がきく幹部クラスの人間の方が適しているでしょう。どんなに価格差があっても、どうしてもピークの時間帯に列車を使わなければならない人は、弱小企業の力の弱い従業員が多くならざるを得ないのではないかと予想されます。
金融において財務的に劣弱な企業ほど高い金利が適用さるように、資本主義は元々弱肉強食の要素を内包しています。ダイナミックプライシングもそうした事例の一つです。ダイナミックプライシングの実行に関しては、そのしわ寄せを受ける弱者に対する配慮も忘れてはならないと考えます。(了)
(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)
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