役員昇格で退職金 損金経理に要注意 ~法人税申告決算は大阪の福永会計事務所~

■新米役員の退職金
6月に株主総会を行った企業では、この時期、株主総会を経て役員へ昇格したばかりという
「新米役員」が続々と誕生しています。使用人から役員へ昇格する際、一度退職金を支払う
制度を導入している会社は多いですが、ここで気になるのが退職金税務です。

■退職金支給時の注意
退職金を支給するにあたって、退職給与規定に基づいて使用人であった期間の退職金として
行った場合、その支給した事業年度の損金の額に算入できます。ただし、未払金に計上した
場合には損金の額に算入されません。また、使用人兼務役員が、副社長や専務取締役など
使用人兼務役員とされない役員となった場合には、扱いが異なるので注意が必要です。
使用人兼務役員であった期間の退職金として支給した金額は、たとえ使用人の職務に対する
退職金として計算されているものであっても、その役員に対する「退職金以外の給与」と
なってしまいます。

■退職金として認められる場合
ただし、支給した要件が、
下記の両方に該当していれば、その支給した金額は使用人としての
退職金として取り扱われる
ことになります。
①過去において使用人から使用人兼務役員に昇格した役員で、
昇格時に使用人だった期間にかかる退職金の支給をしていない。
②支給した金額が使用人としての退職給与規程に基づき、
使用人であった期間及び使用人兼務役員であった期間を通算して、
その使用人としての職務に対する退職金として計算され、
かつ、退職金として相当な金額であると認められる。

また、退職給与規程を制定または改正したことにより、その時点ですでに使用人から役員に昇格
していた人にも退職金を支払うということもあります。この際にも、過去に退職金を支払った
実績がなく、その額が相当ならば損金として認められます。

<情報提供:エヌピー通信社>