平成21年度 法人税関係法令の改正の概要

国税庁が発表した『平成21年度 法人関係法令の改正の概要』より一部の改正について
 掲載しています。

Ⅰ.中小企業関係税制に関する改正
 1.中小企業者等の法人税率の特例
  中小企業等の平成21年4月1日から平成23年3月31日までの間に終了する各事業年度の所得
  の金額のうち年800万円以下の金額に対する法人税の軽減税率が22%から18%に引き下げら
  れました。
  ここでいう、中小企業等とは、「普通法人のうち各事業年度終了の時において資本金の額もしく
  は出資金の額が1億円以下であるもの又は資本もしくは出資を有しないもの」というように、いく
  つかの定義があります。さらに詳細は、こちら(国税庁HP)をご覧ください。

 

区分
H11.4.1 以後
開始事業年度
H21.4.1 以後
終了事業年度
普通法人・
人格のない
社団等
中小企業法人等又は
人格のない社団等
年800万以下の部分
22 %
18 %
年800万超の部分
30 %
30 %
中小法人等以外の法人及び相互会社
30 %
30 %

 2.欠損金の繰戻しによる還付の請求
  青色申告書である確定申告書を提出する法人は、その確定申告書を提出する事業年度におい
  て生じた欠損金額がある場合には、その事業年度開始の日前1年以内に開始したいずれかの
  事業年度の所得に対する法人税の額に当該還付所得事業年度の所得の金額のうちに占める
  欠損事業年度の欠損金額に相当する金額の割合を乗じて計算した金額の還付を請求すること
  ができる制度です。
  平成21年2月1日以後に終了する事業年度において生じた欠損金額について適用されます。
  具体的には、前期に700万の黒字があった法人が、当期で500万の赤字に陥ったとします。この
  場合、前期に納税した法人税を還付してもらえるという制度です。

    欠損金の繰戻しによる還付の請求

  この制度の適用を受けるには、中小企業等の範囲内であること(上記1.中小企業者等の法人税
  率の特例
と同じ。)および、下記3項目をいずれも満たす必要があります。
  ①還付所得事業年度から欠損事業年度の前事業年度まで連続して青色申告書である確定申
    告書を提出していること。
  ②欠損事業年度の確定申告書を青色申告書により提出期限内に提出していること。
  ③確定申告書の提出と同時に欠損金の繰戻しによる還付請求書(国税庁HPより)
 
  提出していること。

Ⅱ.資産譲渡の場合の課税の特例制度に関する改正
 1.特定の長期所有土地等の所得の特別控除制度の創設
  法人が、一定の要件を満たす土地等の譲渡をした場合において、最大1,000万円の所得控除金
  額を損金に算入できる制度です。この制度の適用を受けるためには、確定申告書等にこの制度
  により損金の額に算入される金額の損金算入に関する申告(「別表十(六)」国税庁HPより )
  の記載をし、かつ、その確定申告書等に所得控除限度額の計算に関する明細書を添付すること
  が必要とされています。その他の要件は、下記のとおり。
 ●適用対象となる土地等
  下記のイ、ロ いずれも満たす必要があります。
  イ. 平成21年1月1日から平成22年12月31日までの期間内に当該法人が取得をした国内にあ
    る土地等(土地又は土地の上に存する権利をいい、棚卸資産に該当するものを除く。)である
    こと。
  ロ. 当該法人が取得をした日から引き続き所有し、かつ、その所有期間が5年を超える土地等
    であること。
    (例えば、H21.10.20に取得した場合、H27.1.1以降まで所有する必要があります。)
 ●適用条件
  下記のイ、ロ いずれも満たす必要があります。
  イ. 適用対象土地等の譲渡によって取得した対価の額または交換取得資産(その譲渡により
    取得した資産をいいます。)の価額が、適用対象土地等の譲渡直前の帳簿価額とその譲渡
    に要した経費との合計額を超えていること。
  ロ. 当該法人が譲渡事業年度のうち同一の年に属する期間中に譲渡をした土地等のいずれに
    ついても措置第65条の7から第65条の9まで又は第65条の11から第66条までの規定の適用
    を受けていないこと。
 ●取得控除限度額
  下記のイ、ロ いずれか低い金額となります。
  イ. 法人が適用対象土地等の譲渡によって取得した対価の額又は交換取得資産の価額から、
  適用対象土地等の譲渡直前の帳簿価額とその譲渡に要した経費との合計額を控除した金額
  ロ. 1,000万円

 2.平成21年及び平成22年に土地等の先行取得した場合の課税の特例制度の創設
  法人が、先行取得土地等の取得をし、ある一定の要件を満たしている場合に、その後当該法人
  の所有する他の土地等の譲渡をしたときは、その先行取得土地等につき、他の土地等の譲渡を
  した日を含む事業年度において、圧縮限度額の範囲内で圧縮記帳(圧縮額の損金算入)を認め
  るという制度です。平成21年1月1日から平成22年12月31日までの期間内に取得をした国内に
  ある土地等を、先行取得土地等といいます。
  この制度の適用を受けるためには、確定申告書等にこの制度により損金の額に算入される金額
  の損金算入に関する申告(「別表十三(十一)」国税庁HPより )の記載をし、かつ、その確定申
  告書等に圧縮額の損金算入に関する明細書を添付することが必要とされています。
  その他の要件は、下記のとおり。
 ●適用要件
  下記のイ、ロ いずれも満たす必要があります。
  イ. 該法人が先行取得土地等の取得をした日を含む事業年度の確定申告書の提出期限まで
    に、一定の事項を記載した届出書(「先行取得土地等の届出書」国税庁HPより)を納税地の
    所轄税務署長に提出していること。

  ロ. 先行取得土地等の取得の日を含む事業年度終了の日後10年以内に、その法人の所有す
    る他の土地等の譲渡をしたこと。
 ●圧縮限度額   
  〈算式〉 圧縮限度額 = 他の土地等に係る譲渡利益金額 × 80% (または60%[*1]
  [*1] 先行取得土地等が、平成22年1月1日から平成22年12月31日までの間に取得されたも
      ののみである場合には、60%となります。