節税対策vol.12

【所得税】節税:不動産の譲渡、買換、交換の特例を利用する!

税法では、相続や遺贈で受けた居住用の財産について、買い替えたり交換するときに一定の条件を満たせば、所得税や相続税の負担を軽減できる特例があります。ただし、これらの特例の適用を受けたときは、住宅借入金等特別控除の適用を受けることはできません。

●特例
(1) 3000万円の特別控除の特例
売主と買主の関係が特別の間柄(配偶者や親、子などの直系血族など)でない場合、その所有期間を問わず、譲渡所得から最高3000万円が控除されます。3年に1度しか適用されません。

(2) 軽減税率の特例
譲渡した年の1月1日現在で家屋と敷地の所有期間がともに10年を超えるものを譲渡した場合で、買換え(交換)の特例の適用を受けないときは、3000万円の特別控除の特例を適用した後の長期譲渡所得金額に対して、次のような軽減税率の特例を受けることができます。

課税譲渡所得
6000万円以下の部分
6000万円を超える部分
所得税
10%
600万円 + (課税譲渡所得 - 6000万円) × 15%
住民税
4%
240万円 + (課税譲渡所得 - 6000万円) × 5%

(3) 買換え(交換)の特例
 ① 特例買換え(交換)の特例(平成21年12月末まで)
  ・譲渡資産の価額 ≦ 買換え資産の価額  課税なし
  ・譲渡資産の価額 > 買換え資産の価額  譲渡所得の差額のみ課税
 譲渡した年の1月1日現在で家屋と敷地の所有および居住期間が10年以上であるものを譲渡し、 翌年12月31日までの間に代わりのものを取得し、一定の期間内に自己の居住の用に供する場合 は、課税を繰り延べる買換え(交換)の特例が受けられます。なお、代わりに取得したものの床面 積等は一定の要件(床面積50㎡~、土地面積500㎡以下、中古マンションの築後25年以内など) に該当する必要があります。
 ② 相続買換え(交換)の特例
 ①のほか父母または祖父母から相続または遺贈により取得した場合で、居住期間が30年以上で あること等一定の要件を満たすものを譲渡した場合にも、買換え(交換)の特例が受けられます。

(4) 居住用財産の譲渡損失の繰越控除(平成21年12月末まで)
居住用財産を譲渡した際の譲渡損失のうち、住宅借入金残高が譲渡価額を上回る場合、その上回る金額について、他の所得との損益通算および翌年以降3年間の繰越控除が認められています。
住宅ローン控除との重複適用も可能です。

(5) 交換による特例
下記要件をすべて満たした交換が行われた場合、上記(3)の①「特例買換え(交換)の特例」と同様の処理ができます。
 ・ 両当事者が一年以上所有している土地や建物など、同一種類の固定資産の交換であること
 ・ 交換直前の用途と同一用途で使用すること
 ・ 取得金額と交換で受け取った金額の差額が、そのいずれか多い価額の20%以内であること
   (交換差金を受け取った場合は、その差金は譲渡所得として課税対象となります。)
 ・ 親族間の交換の場合には、時価を基準として判定すること
   (交換した直後に取得した資産を譲渡する場合は、特例は適用されません。)