非上場株式に係る贈与税の納税猶予制度について

【相続・贈与税】非上場株式の納税猶予制度について

平成21年度税制改正法案に非上場株式に係る相続税・贈与税の納税猶予制度の創設が盛り込まれました。
相続税の納税猶予制度は、発行済議決権株式総数の3分の2までの80%相当分の相続税額を、経営承継相続人等の死亡の日まで納税を猶予するというもの。
一方、贈与税の納税猶予制度は、一定の要件を満たす親族の経営承継受像者に、保有する非上場株式等の全部を贈与した場合、それに係る贈与税の全額を猶予する制度です。
いずれの場合も経営承継円滑化法に基づく経済産業大臣の確認・認定等の一定の要件をクリアしておくことが求められるなど、前提条件付きとなっています。
今回は、贈与税の非上場株式に係る納税猶予制度について具体例をご紹介します。

【前提条件】
  ・発行済議決権株式総数:3万株
                 (経営者:2万5千株、配偶者:4千株、長男:1千株)
  ・非上場株式の評価額 : 1万円 (一株当たり)
  ・経営者が後継者の長男に2万株を贈与

〈通常時〉
■贈与税の課税価格 : 2億円 ( 2万株 × 1万円 )
■贈与税額: 9,720万円

■計算式 : 
 ( 〔2億円 -110万円(基礎控除額)〕 × 50 %(税率) – 225万円(税率表控除額)

〈猶予制度利用時〉
■納税猶予対象株式の価格 : 1億9千万円 ( 〔3万株 × 2/3 – 1,000株〕 × 10,000円 )
■納税猶予対象株式価格に対する贈与税額 : 9,220万円
■計算式 : 
 ( 〔 1億9千万円 - 110万円(基礎控除額 ) 〕 × 50 %(税率) – 225万円(税率表控除額)
■納付税額 : 500万円

これまでは、贈与税の税率の高さから生前贈与を行わなかった中小企業の経営者も多かったのですが、今後は自社株の承継がよりいっそうスムーズに行えるのではという期待の声も大きいようです。この制度は平成21年4月1日以降の贈与に適用されます。