判決:給与所得と事業所得の区分/外注費

【所得税】判決:給与所得と事業所得の区分/外注費

電気工事の設計施工等を業とする控訴人A社が、その業務に従事した者(一人親方)に対して支払った外注費が給与所得に該当するか否かが争われた事案で、東京高裁は所得税法28条1項に規定する給与等であり、消費税法上、課税仕入れに係る支払対価の額に該当せず、原告において、その支出に係る各月分の源泉所得税を徴収納付する義務を負うと判断、控訴人が求めていた課税処分に対する取消請求を斥ける裁決を下した。(東京高裁平成20年4月23日判決)
給与所得と事業所得の区分については、過去の判決を例にみると、
事業所得とは、自己の計算と危険において独立して営まれ、営利性及び有償性を有し、かつ反復継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められる業務から生ずる所得をいい、これに対し、給与所得とは、雇用契約又はこれに類する原因に基づき使用者の指揮命令に服して提供した労務の対価として使用者から受ける給付をいうものと区別することが相当であり、給与所得については、とりわけ、給与支給者との関係において何らかの空間的又は時間的な拘束を受け、継続的ないし断続的に労務又は役務の提供があり、その対価として支給されるものであるかどうかが重視されなければならない』とされている。
本件については、原告が一人親方に係る定期健康診断の費用を負担していたこと、食費や作業着等の費用を交際費でなく、福利厚生費として計上していたことなどから、本件各支払先による労務の提供及びこれに対する原告による報酬の支払いは、雇用契約又はこれに類する原因に基づき、原告との関係において空間的又は時間的な拘束を受けつつ、継続的に労務の提供を受けていたことの対価として支給されていたと認めるのが相当である。