後入先出法、税務上でも廃止へ

【税制改正】後入先出法、税務上でも廃止へ

昨年末、政府は平成21年度税制改正大綱をとりまとめましたが、その中で会計基準の国際的コンバージェンスに対応するための改正項目も盛り込まれました。
まず、会計上廃止されることになっていた「後入先出法」について、税務上も廃止されることが決まりました。
「後入先出法」とは、棚卸資産の評価、費用化の方法の一つで、購入履歴の新しいものから費用化したものとして、原価の計算や棚卸資産の評価を行う方法で、物価が上昇した場合や下落した場合などに即座に売上原価に反映される為、利益の算定が先入先出法などに比べて現在の実態を即座に反映される方法であると言えます。
しかし、一方で棚卸資産の価格変動局面においては、時価との間に乖離を招くおそれがあります。IFRS(国際財務報告基準)では財務諸表の比較可能性の観点から禁止されています。
後入先出法の廃止により、会計上、多額の在庫評価益が一度に計上される可能性があり、法人税においても多額の税負担が生じることが懸念されていましたが、平成21年度税制改正では、後入先出法廃止により生じた利益については、経過措置として7年間で所得分割することを認めることとされました。
また、会計上、1)売買目的有価証券からその他有価証券への振替、2)売買目的有価証券から満期保有目的の債権への振替、3)その他有価証券から満期保有目的の債券への振替を一定の条件のもとに認められることになりましたが、税務上は会計上保有目的区分の変更をしたとしても、変更を反映させないこととされました。